以前の記事にもちらっと書きましたが、私は体質的に大変母乳が出ます。
Sセンターでも母乳育児を推奨しているので、例えまだ飲めなくてもかなりの量をセンター内の冷凍庫で保存しておいてくれます。家庭の冷凍庫など保存量が知れていますので助かります。しかしその冷凍庫にも入りきらないほどの母乳が出ていたので、NICUに面会に行った時はNICU室内の授乳/搾乳室で搾乳したものを捨てていました。一回で300ccほどをザザーっと捨てるのでお母さん方にぎょっとされていました。ある日そんなに捨てるなら欲しい、と言われたことがあります。私だって捨てるくらいならあげたかったです。
絞るのは最低限にしていましたが、絞るをやめると止まってしまいます。
主治医はいつか母乳が必要になる、と主張していたので私も信じて虚しさを感じつつも絞ったものを捨てていました。
次男が生まれた2018年にはまだ母乳バンクが日本になく衛生的な面が保証されないのに病気の赤ちゃんに勝手に他人の母乳をあげることはできなかったのです。
母乳で命を救いたい
このニュースで紹介されている、水野先生は母乳バンクの設立と運営に尽力されており、母乳を冷凍するパックを開発した先生でもあります。母乳パックのパッケージの横に顔写真があったのが存在を知った最初でした。
NICUの先生に他のお母さんから母乳が欲しいと言われていることを相談しましたが、この水野先生がそういう活動をしようとしているが、ドナー(母乳提供者)に対して運営体制が整っておらず、2018年時点では稼働できてないことを調べてくださいました。もちろん病院内で患者の親同士で直接の母乳の受け渡しはできない、と言われてしまいました。
運命とは数奇なもので、その後第三子である長女を昭和大学病院で出産したのですが、そこに水野先生がいらっしゃいました。すぐにお話しして、長女の出産後からドナーとして協力させてもらっています。
母乳は人間の体から出るものですから、持って生まれた体質、栄養状態、精神状態、環境などで出る量が大きく左右されます。重篤な病気を持って生まれてしまった赤ちゃんのお母さんはショックで母乳が出なかったり、特に初産で早産になってしまった場合はお母さんの体がまだ母乳を作る準備ができておらず出ない、ということもよくあります。
そしてそんな時母親は自分をものすごく責めるのです。お母さんなのにごめんね、と。
自然分娩したから、母乳育児したから、そんなことは子の親になることに必要な条件ではありません。生まれたばかりの小さな命に必死に寄り添い、子との間に絆を作れる人が親なのです。次男の主治医も、例え沈静をかけていても弐くんはお母さんの存在を感じていると思うので、いっぱいお話ししてあげてくださいね、お母さんにしかできないことです、と言ってくださいました。その時、私はこの人は次男の二番目のお母さんなんだな、と思いました。
どうかこの活動が定着し、母乳を薬として必要としている全ての赤ちゃんに安心して母乳が提供されますよう。お母さんの心配事が一つでも減り、愛情を注ぐという親にしかできないとっておきの治療にお母さん方が専念できますように。
0 件のコメント:
コメントを投稿