答えは簡単でした。
胎児に保険がないから。
母体自体は健康なので、母親の健康保険は適応されません。
赤ちゃんの病気がわかっていて、医師が必要と判断しているにもかかわらず、自由診療なんです。例えば、これが前置胎盤や逆子などで毎回詳細なエコーが必要な場合、前置胎盤も逆子も妊婦の命に関わる出産リスクが高いので、保険が適応されます。
日本は皆保険制度を採っていて国民は命を繋ぐための最低限の医療は保険によって保障されています。様々な事情で戸籍を失くし、住所も財産や家族もない人ですら、病院に担ぎ込まれれば、最低限救命はしてもらえるのです。
22週を超えた赤ちゃんは法的に堕胎することもできず、お金がなければ病気の赤ちゃんの妊娠を継続することもできない。とんでもない矛盾。
妊娠保険にも加入していましたが、もちろん母体は健康、胎児が胎内で病気というケースの出費は保障してくれませんでした。この後私が管理入院になるのですが、母体のリスクで、管理入院となった場合、社会保険、国民健康保険、民間保険すべてが適応になります。
クリニックで、セカンドオピニオンの医大で、何度も何人もの医師に"赤ちゃんは死ぬ"と宣告され、その度に親だけは信じる、と自分たちを鼓舞してきましたが、順調な妊娠から外れた途端、毎回の検診料が二万円に跳ね上がるという事実は、お腹の赤ちゃんが社会的にも認められていない存在だ、と突きつけられているようで、毎回お財布と心がひどく傷みました。
(クリニックによりますが、通常妊娠の検診は、市区町村の補助券を使うと、安ければ数百円、少々お高いところでも2〜3千円くらいのお支払いになります。)
このことに関して、医師に質問した時に、「病気の赤ちゃんに事実上、生きる権利を認めてないということですね?」と夫はちょっと意地悪な物言いをしていましたが、胎児診療科の先生は、そのことをとても遺憾に思っていて、胎児診療に保険適用をという署名を募っています、署名してくださいますか、と活動されていることを教えていただきました。
もちろん二つ返事で署名しました。
臨床で忙しく働いている医師がこういう活動をしてくれていることをありがたく思います。胎児の全ての病気が保険対象となり、出来うる限りの治療を保険で受けられるようになることを願います。
※以前は妊娠は病気ではない、という考え方のもと、中期に胎児の臓器の状態をチェックするスクリーニングも市区町村助成の対象外だったそうです。
※胎児の心臓エコーに関しては、2010年4月に胎児心エコー検査が正式な専門医療行為として厚生労働省に認定され、保険償還されたそうです。
日本胎児心臓病学会




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