病気の宣告をされた日から、大学でのセカンドオピニオンまでが6日後、
法で定められた期日に従い、人工死産するか、妊娠継続するか、セカンドオピニオンのその日に決めなくてはならないというスケジュールだった私たちは6日間のあいだに、夫婦で様々なリサーチと話し合いをしなくてはなりませんでした。
(宣告を受けたその日、夫はセカンドオピニオンを待って考えれば良い、と言いました。しかしそれでは、以下のような理由で、セカンドオピニオンのその日に決断しないといけなくなってしまうのです、セカンドオピニオンの前に、調べる時間、自問自答する時間を取るしかありませんでした。)
22週の壁ー赤ちゃんとの"合法的な"さようなら1
22週の壁ー赤ちゃんとの"合法的な"さようなら2
まず、赤ちゃんの病気、ポッター症候群がどんな病気なのかを調べる。
妊娠を継続した場合どんなことが起きるのか、そのリスクを調べる。
人工死産はどうやって行うのか調べる。
インターネット様様です。読んだり考えたりするたびに涙が溢れてくるので、自宅にいながら、休み休み自分のペースで知ることができました。これらについて調べたことの詳細は膨大なのでまた別記事でまとめたいと思います。
次に必要最低限の人への連絡です。セカンドオピニオン後、その足で中絶する可能性があったので、妊娠を告げていた子供たちのおばあちゃん達(子供たちの両祖父は亡くなっています)、それから夫の兄に連絡をしました。セカンドオピニオンの日に長男を私の仕事先の人に預かってもらったので、仕事先の上司、夫も会社を休んだので、会社の直属の上司にも話しました。
夫の母は、そうか、辛いね、とだけ。何も言われないことがありがたかったです。
私の実母、第一声、「堕しなさい。」
カッと何の感情か解りませんが、激情が湧き上がり、速攻電話を切りました。
実は私と母の間には姉をめぐる深い確執があるのです。私の姉は高次脳機能障害があります。心臓に先天性心室中隔欠損症を患っており、当時はエコーの精度がいまいちだったのか、近所のクリニックではその程度だったのか、初産にもかかわらず豪気な母親が細かいことを気にしなかったのか、はたまたその全てが絡み合った結果か、妊娠中はおろか、出産してからしばらく誰も心臓の異常に気付いていなかったのです。
高次脳機能障害とは
胎位も横位にもかかわらず、旋回異常があるのに出産は強引に吸引鉗子分娩で行われ、後から聞くにつれおかしなことだらけです。今なら確実に産科医補償制度のお世話になっている事案ですが、当の母親すら気にしていない状態です、社会的にそんな制度は当時ありませんでした。子供が病気だとそのことで頭いっぱいで、医療事故かも、とか、社会制度の矛盾とかに気づくのは病気がある程度落ち着いてからになりがちです。そしておかしいと思った頃にはうやむやにされてしまうことが多いのでしょう。
姉の心室の壁には19mmもの穴が開いており、静脈血と動脈血が混じりあった状態で循環していたため、脳は常に酸欠、長じて後の検査では脳の半分は機能不全になっていました。当然、知的障害、呼吸の止まるてんかん発作を持つことになりました。新生児の心臓の手術自体もとても難しく、当時それをできる心臓外科医は日本に1〜2人しかおらず、当然順番待ちです。今はもう閉鎖されてしまいましたが、尼崎の心臓センターという病院で行われました。本来なら姉は1年手術の順番待ちをする予定で、その間に亡くなるはずでした。しかし同室の赤ちゃんが手術予定日に風邪をひいてしまい、同室ということで姉が代わりに手術を受けられたそうです。
さて、私の母親は大変強い性格で、当時知的障害児へのありとあらゆる不平等、差別と闘い、はね退け、がむしゃらにやってきた人でした。私は典型的な障害兄弟児となりました。あらゆる学校行事は姉が優先され、常に一人です。療育に忙しい母親のたくさんの役割の幾つかも、私の肩にグッとのしかかっていました。今でこそ、男親も積極的に育児に参加する時代になりましたが、いえ、今ですら"参加"と言われるくらいですから、当時父親は育児には全くノータッチ、家にいればお茶だし、テレビのチャンネル替え、タバコを買いにお使いする、とにかく使用人でもいないとやっていられない人です。
当然学校でも"ガイ児"の妹とからかわれましたが、必要な時期に適切な親の愛情を受けられないこと、年齢の割には家庭から期待される役割が大きすぎることで、私は随分と大人びたささくれ立った子供になっていたので、そう言ったからかいに腹も立ちませんでした。いじめに発展する要素だったと思いますが、されてる本人が「いいね、そんなことで潰せる時間や心の余裕があって」といった受け止め具合だったのでいじめが成立しなかったようです。
私の楽しみは勉強でした。本を読むこと、勉強に没頭している間だけ、私は自由でした。
少々ハードな子供時代を過ごしたので、大人になっても、結婚もしない、子供もいらない、とずっと思っていました。しかし、縁あって夫と出会い、子供を愛せないかもしれない、という私の不安を丸ごと受け入れてくれ、大丈夫、俺が育てると言ってくれたので、長男を授かりました。
しかし私には知的障害児の母親になる決心だけはつかなかったのです。
長男の時にも次男の時にもわかる範囲でもその可能性から逃避したい、と思い羊水検査を受けています。長男も次男も何の異常もありません、という結果でした。次男の病気の発覚は、羊水検査で異常がなかったのでホッとしていた矢先の出来事でした。
やっぱり長くなってきたので、その2へ続きます....。
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- Ann
- 三児の母、ポッター症候群の赤ちゃんを出産しました。いつか誰かが研究してくださるよう、記録を残します。I'm mom of 3 children. I've given birth a baby with potter sequence. I strongly hope someone and someday to study this disease for all pregnant and baby!
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